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甲府地方裁判所 平成7年(わ)72号 判決

裁判所書記官

佐野光男

本店所在地

山梨県富士吉田市下吉田三一九七番地の八

株式会社髙木

右代表者代表取締役

髙木孝昌

本籍

山梨県富士吉田市大明見五二一番地

住居

山梨県富士吉田市大明見四四二〇番地の一

会社役員

髙木孝昌

昭和六年一二月一二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官遠藤秀一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社髙木を罰金一五〇〇万円に、被告人髙木孝昌を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人髙木孝昌に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社髙木は、山梨県富士吉田市下吉田三一九七番地の八(平成五年六月一四日以前は同市大明見四四二〇番地)に本店を置き、木造、建具家具の製造及び取付工事等を目的とする資本金三〇〇〇万円の株式会社であり、被告人髙木孝昌は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人髙木孝昌は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  平成四年一月一日から平成四年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億五四八一万二五三二円であったのにかかわらず、平成五年三月一日、山梨県大月市駒橋一丁目一〇番二号所在の所轄大月税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九五三一万二八四八円で、これに対する法人税額が三四七〇万二二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五七〇一万四七〇〇円と右申告税額との差額二二三一万二五〇〇円を免れた、

第二  平成五年一月一日から平成五年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億七九一六万一四六九円であったのにかかわらず、平成六年二月二八日、山梨県大月市御太刀二丁目八番一〇号所在の所轄大月税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六〇〇九万三七一〇円で、これに対する法人税額が二一六四万九二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額六六二九万九七〇〇円と右申告税額との差額四四六五万〇五〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  加々美孝枝、白須まち子、髙木三恵子の検察官に対する各供述調書

一  大塩利之の東京国税局収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書

一  東京国税局収税官吏大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(損益)、売上高調査書、売上値引調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、事業税認定損調査書と題する各書面

一  検察官事務官作成の電話聴取書(受信日時が平成七年三月一七日のもの)

一  甲府地方法務局吉田出張所登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  東京国税局収税官吏大蔵事務官作成の脱税額計算書(平成四年一月一日から平成四年一二月三一日までの期間に関するもの)、諸会費調査書と題する各書面

一  被告人会社の確定申告書一袋(平成四年一月一日から平成四年一二月三一日までの事業年度分のもの 平成七年押第一三号符号1)

判示第二の事実について

一  東京国税局収税官吏大蔵事務官作成の脱税額計算書(平成五年一月一日から平成五年一二月三一日までの期間に関するもの)、減価償却費調査書と題する各書面

一  被告人会社の確定申告書一袋(平成五年一月一日から平成五年一二月三一日までの事業年度分のもの 平成七年押第一三号符号2)

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人髙木孝昌については所定刑中懲役刑を選択し、以上は平成七年法律第九一号(刑法の一部を改正する法律)附則二条一項本文により同法による改正前の刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一五〇〇万円に、被告人髙木孝昌については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人髙木孝昌に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 髙木順子)

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